痔といっても様々な種類があります。症状からあなたの痔を自己診断してみましょう。そして、気軽に近所のおしり医を受診しましょう。

痔といっても様々な種類があります。症状からあなたの痔を自己診断してみましょう。そして、気軽に近所のおしり医を受診しましょう。
出血 | 内痔核 | 裂肛 | 潰瘍性大腸炎 | |
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痛み | 裂肛 | 血栓性外痔核 | 肛門周囲膿瘍 | クローン病 |
脱肛 | 内痔核 | 外痔核 | 直腸脱 | |
膿み | 痔瘻 | 肛門周囲膿瘍 | クローン病 |
内痔核はおしりの中(直腸側)にできるイボ痔です。排便の時にイボが出ます(脱肛)。時々出血しますが、あまり痛みません。症状が悪化すると指で押さないと戻らなくなります。ついには、歩いている時も脱肛します。柔らかくてピンク色です。
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外痔核はおしりの外(肛門側)にできるイボ痔です。おしりの中に押し戻してもすぐに出てきます。痛みも出血もありません。柔らかく茶色です。
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おしりの縁にできる、硬い紫色のイボ痔です。いきみや便秘がきっかけになります。突然の痛みと腫れが特徴です。その正体は血マメ(血栓)なので破れて出血することもあります。
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いわゆる穴痔です。膿のトンネル(瘻管)ができてしまう痔です。おしりの近くにデキモノができ、血混じりの膿が出ます。なかなか治りません。何十年も炎症が続くとまれに癌化します。また、若い男性は、腸の病気(クローン病)が隠れていることがあります。
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おしりが膿む病気の総称です。腫れて熱をもち、強い痛みを伴います。緊急手術(切開排膿術)が必要です。多くの場合、痔瘻が原因です。根治手術をしないと治りません。糖尿病や腎不全の方は、おしりが腐って死に至ることもあります(壊死性筋膜炎:フルニエ症候群)。
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いわゆる切れ痔です。排便時の鋭い痛みと出血が特徴的です。便秘や硬い便で悪化します。再発を繰り返すとイボができ、おしりが狭くなります。
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花が咲いたように腸が飛び出ます。おしりが緩んでくる高齢の女性は要注意です。血液や粘液で下着が汚れてとても不快です。
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潰瘍性大腸炎とクローン病はともに、腸に炎症を引き起こす原因不明の病気で、炎症性腸疾患(IBD)といわれています。現在、日本で急速に増えており、難病に指定されています。
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重力に逆らい2本足で歩くことを選んだ人間は、おしりに負担をかける運命を背負いました。人間は他のどんな動物より、おしりのトラブルを抱える可能性が高いのです。以下の生活習慣を目安にしておしりの健康を保ちましょう。
潰瘍性大腸炎とクローン病は、食生活の欧米化が原因の一つと考えられています。高脂肪食は控え、ストレスの低い生活を心がけましょう。
愛宕おしり研究会でのアンケート調査で、たばこと痔ろうの関係が明らかになりました。痔ろう患者さんの50%以上が喫煙者です。また、喫煙はクローン病を悪化させます。
日本人はがまん強く、恥じらいの文化をもつ民族です。欧米と比べ、受診時は状態が進行していて手術になる確率が高い特徴があります。早めの受診は手術率を低下させます。おしりに異変を感じた時は受診しましょう。
まずは、軟膏や内服薬で治療を始めましょう。
内痔核、血栓性外痔核、裂肛などに対して、軟膏治療は効果的です。また、血のめぐりやキズの治りをよくする飲み薬も効果的です。痔ろうや肛門周囲膿瘍に対しては、化膿止めや痛み止めの飲み薬が効果的です。
便秘、下痢の方には整腸剤を処方いたします。
潰瘍性大腸炎とクローン病には、内服薬・坐剤・皮下注射剤・点滴製剤など多くの治療法がありますが、いまだ確立された治療方法はありません。しかしながら、近年開発された生物学的製剤により、劇的な効果が得られています。